おっさんを吸いすぎて、死にかけました。
こみ上げる吐き気。
冷えていく身体。
噴き出す冷や汗。
なおすけは目の前が真っ暗になった。
……
……
……
…目が覚めると、そこは駅の救護室でした。
どうも。なおすけです。
ほんとうに危うかったです。死んだかと思いました。
◇駅で救護されたよ
その日は、何の変哲もないいつもの日常でした。月曜の出社日。強いて変わったところがあるとすれば、台風21号の日本上陸による気圧の低下、その影響により遅延した通勤電車の車両混雑度の上昇といったところでしょうか。
午前8時。連日宣伝会議賞に夢中で寝不足ぎみな身体をなんとか駅まで運び、スーツ姿のサラリーマンでごった返した箱の中に押し込みます。
都心に近づくにつれ乗車率も増していき、気づけば目の前には50代?くらいのおっさんが。
これにはたまらず、なおすけ青年、魂の嘔吐(えず)き。
朝からおっさんと抱き合わねばならないこの世界。
神様お願い。車両を増やすか、おっさんを減らしてください。
歳を重ねるとボクもこんな臭いを放つようになるのかな、いや気づいてないだけで実は既に…と、悲しいことを考えながら降車駅に着くのを待ちます。
そしてその時が訪れます。
降車駅の到着ではありません。体調の急変です。
ここで、50代おっさんの肩を持つわけではありませんが、一応弁明しておくと、あくまでもおっさんはトリガーに過ぎないということです。
もちろん、引き金を引いたのがおっさんであることに変わりはありません。氏が、終始異臭のする銃口をボクに突きつけていたことは動かしようのない事実です。
肺の中で、体内の二酸化炭素と、おっさんと酸素の混合気体「おっ酸素」の交換が長時間にわたって行われた結果、ボクの身体はおっさんでパンパンになっていました。おっ酸素の過剰摂取です。
しかしその他にも様々な要因がありました。まず先ほども言ったように、寝不足です。そして、栄養の偏り。自炊の時間が惜しく、最近はコンビニ飯で済ませることが多くなっていました。
そういう悪条件が重なって、冒頭で記述したような、吐き気、めまいに襲われ、冷や汗が噴出し、降車駅3つ手前での途中下車を余儀なくされました。
視界が狭まる中、最後の気力をふりしぼり見つけたホームのベンチに座り、グッタリしているところを、駅員さんに拾われました。そして車椅子に乗せられ救護室まで運んでいただきました。(病人として初めて車椅子に乗りました。)
そのときのボクは本当に顔色が悪かったみたいで、「救急車呼びますか?」と聞かれましたが、救急車デビューするにはまだ早いという変なプライドから、どう見ても大丈夫じゃない人間の「大丈夫です。」をしぼり出しました。
◇後日談
おそらく貧血だと思います。
その日ボクは東新宿駅の救護室で少し横になり、会社に欠勤の電話を入れ、帰宅することにしました。
宣伝会議賞に夢中になるあまり寝不足、栄養不足に陥り、宣伝会議を欠勤してしまう(ボクは宣伝会議でバイトしているのです。)という、なんというか、飼い犬に手を噛まれるといいますか。いや、この場合飼い犬はボクの方だから、飼い犬が主人の手を噛んだ話…?
うーん。でもボクもダメージを負っているからなあ。
とにかく、バイト先と駅員さんにはご迷惑をおかけしました。申し訳ありませんでした。
みなさんも、体調管理と満員電車には十分お気をつけください。